※既に最新の「~11」が出ていますが、せっかくですので記事を残しておきます。
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「SILKYPIX JPEG Photography 10」のレビュー記事
JPEG専用の写真加工ソフト(レタッチソフト)「SILKYPIX JPEG Photography 10」をレビュー用に入手することができましたので、感想や注意点、テイスト機能を使った作例などをご紹介します。
ちなみに私は写真が趣味で、もう10年以上になります。特に凝った写真を撮るわけではなく、いわゆるお散歩写真的なものが多いです。
撮影にはコンデジを使うことが多かったのですが、最近ではミラーレスカメラと単焦点のオールドレンズという組み合わせも使い始めています。
有料の画像加工ソフトは使っておらず、普段は無料の画像加工ソフトでコントラストの補正などを行なっています。
「SILKYPIX JPEG Photography 10」とは
「SILKYPIX JPEG Photography 10」とは、市川ソフトラボラトリーが提供している写真加工ソフト(レタッチソフト)です(※市川ソフトラボラトリーでは写真調整ソフトと呼んでいます)。
(※吸収合併により、アドワ―株式会社に社名が変更されました)。
JPEG専用に特化されており、コントラストや彩度といった基本的な調整機能はもちろんのこと、ワンタッチで手軽に写真の雰囲気を変えることができるテイスト機能や、比較明合成などの合成機能、細かな部分を指定して調整できる部分補正ツールなど、さまざまな機能が用意されています。
また、JPEGを自動でより高画質に調整してくれる「SILKYPIX RAW Bridge」機能が搭載されているところもポイントです。
(※本ソフトは JPEG専用ですので、RAWファイルを取り扱えないだけでなく、PNGや TIFFなども、そのままでは取り扱うことはできません。ただし、あらかじめ JPEGに変換しておけば取り扱うことができます)。
価格、動作環境に関する注意点
「SILKYPIX JPEG Photography 10」の価格は税込5,500円。
ダウンロード版のみで、パッケージ版はありません。
WindowsとMacで使用することができ、1つのライセンスで合計3台のPCに登録可能です。
ひとつ、注意しておいていただきたいのは、Windowsの32bit版には対応していないということです。
ふだん、あまり意識されていない方が多いと思いますが、WindowsのOSには64bit版と32bit版の2種類があります。
「SILKYPIX JPEG Photography 10」は64bit版にのみ対応していますので、32bit版のOSをご利用の方は使用することはできません。
ご自分のPCがどちらなのか分からない場合には、以下のページにシステムの種類の確認方法が載っていますので、ご参照ください。
インストール後のちょっとした注意点
「SILKYPIX JPEG Photography 10」をインストール後、最初に起動すると「ピクチャ」フォルダの画像を自動で読み込んでくれます。
ただし、画像のどれかを選択して、早速、加工を始めようとすると、加工用のメニューが見当たらなくて困ることになるかも知れません。
実は「SILKYPIX JPEG Photography 10」では、やろうとすることに応じて3種類のモードが用意されており、目的に合わせてモードを切り替えて作業するようになっています。
モードの名前はそれぞれ、「セレクト」「調整」「印刷」となっており、一番最初に起動した時には「セレクト」モードになっています。
「セレクト」モードは文字通り、写真を選ぶ(セレクトする)ためのモードですから、このモードのままでは写真の加工には移れません。
写真を加工するためにはツールバーの「表示」をクリックして現れる「セレクト」「調整」「印刷」の中から「調整」を選んでモードを切り替えてください。
「調整」モードに切り替えることで、写真を加工するためのツールなどが画面内に登場し、使用できるようになります。
実際に使ってみての感想
最初にお断りしておきますが、「SILKYPIX JPEG Photography 10」の機能は非常に多岐にわたるため、すべての機能を試してみての感想ではないことをご了承ください。
個人的には、花火写真などに効果を発揮する比較明合成や、鳥などが羽ばたいている様子が連続写真のように一枚の写真の中で表現されるストロボモーション合成なども試してみたかったのですが、いずれも、ほぼ三脚必須で、かつ合成機能が活きる被写体の撮影機会を得るのも難しかったため、断念しました。
全体的な印象
さて、実際に使用しての感想ですが、加工後の写真の出来映えに関してはなかなかのものという印象です。
もちろん、加工する元写真によって加工が活きる活きないの違いはあるのですが、合う加工の仕方を選択すれば、かなりきれいな感じの写真に仕上がります。
このあたり、加工機能の出来だけでなく、JPEGの8bit(256階調)を自動で16bit(65,536階調)に拡張してくれる「SILKYPIX RAW Bridge」機能の影響もあるのかも知れません。
ただし、JPEGを自動で拡張してくれるということは、撮影時のままの状態ではない、ということでもありますので、元々の撮影データのままの状態から加工を始めたいという方には不向きなソフトということもできます。
このあたり、ご自身がどのような形での加工を希望されているのかということに基づいて判断していただければと思います。
加工にかかる時間は内容によって差があると思いますが、今回、試した範囲では普段使っている無料ソフトに比べて遅いといったことはなく、むしろ早めと感じるところもありました。
また、色温度を変更することでホワイトバランスを簡単に調整できたりと、豊富な機能が用意されているところも魅力です(※ソフトウェアマニュアルによりますと、JPEGでホワイトバランスの調整を行なう場合には、色温度=6500K, 色偏差=3からの相対的な調整になるとのことです)。
色合いに関しても、彩度の数値をマニュアルで指定できるだけでなく、美肌色(2種類)、フィルム調(5種類)などを選択するだけでいろいろな色合いに変化させることができるようになっています。これは調子(※コントラストなど)に関しても同様です。
操作系について
このように出来映え的にも機能的にもなかなか優れている印象のソフトなのですが、一方、操作系に関しては、若干の慣れが必要に感じるところがあります。
インストール後のちょっとした注意点でも触れましたが、このソフトでは、やりたいことに対応したモードなどに切り替えるとそれに関連した操作内容が表示される、という順番になっています。
たとえば、画像のサイズ変更を行ないたいと思って「サイズ変更」的なものを探しても、その時点では見当たりません。
ではどうするのかと言いますと、「画像を現像して保存する時に現れる画面」の下側の「設定」タブをクリックして切り替わった先の画面の下半分に「サイズ変更に関する設定ができる個所」が用意されているので、そこで数値を入力するなどしてサイズ変更をする、という手順になっています。
この例からもお分かりいただけますように、いったん覚えてしまえば簡単なのですが、やり方が分かるまでが一苦労、というタイプの操作系のソフトです。
そういった意味では、ツールバーのヘルプから開くことのできるソフトウェアマニュアルや、公式サイトにある「よくあるご質問 FAQ」ページの参照は必須でしょう。
※「よくあるご質問 FAQ」には下記リンクから飛ぶことができます。
SILKYPIX Developer Studio Pro10 / 10, JPEG Photography 10 FAQ (よくあるご質問)
その点を除けばお値段的にもお手頃ですし、普段JPEGで撮影されていてきれいな感じに仕上げることのできる写真加工ソフトをお探しの方には有力な選択肢になりうるのでは、と思います。
テイスト機能について
最初に「SILKYPIX JPEG Photography 10」について知った時に、便利そうだなと思ったのがテイスト機能です。
テイスト機能は全部で66種類用意されており、それぞれのテイストを適用するだけで、写真の色合いや雰囲気などを変更することができます。
しかも、試してみたいテイスト名にマウスカーソルを合わせるだけで、そのテイストを適用した場合のイメージ画像を見ることができますので、大変、便利です。
(実際に画像を加工するには、テイスト名をクリックしてから、その画像を「現像」する必要があります)。
テイスト機能を使った作例
以下の作例は、各テイストをそのまま適用し、微調整などは行なっていないものです(※掲載した画像のサイズはリサイズしてあります)。
まずは、同じ写真をベースにいろいろなテイストを適用した作例をご紹介します。
テイストによって、色の感じや雰囲気などがかなり違ってくるのが見てとれるかと思います。
(加工前の元画像)
OLYMPUS SZ-10で撮影
「シネフィルム(Roadmovie)」
シネフィルム風のテイストは全部で4種類、用意されており、それぞれ違った雰囲気に仕上げてくれます。
「シネフィルム(Western)」
こちらはWestern風のシネフィルムのテイストを適用したものです。他にRetro、70'sがあります。
「風景」
テイストにはそれぞれ名前が付いていますが、名前通りの目的にしか使えないというわけではありません。
こちらの作例では風景用のテイストを適用することで、車の写真が鮮やかな色彩へと変化しました。
「セピア」
一口にセピアといっても加工ソフトやカメラによってさまざまですが、「SILKYPIX JPEG Photography 10」のセピアはこのような色合いになっています。
「鶏卵紙」
鶏卵紙とは主に19世紀後半に使われていたフィルムカメラ用の印画紙のことです。
鶏卵紙をイメージしたこのテイストは、写真に独特の色調を加えてくれます。
鶏卵紙についての詳細や自作方法に関しましては下記の記事をご参照ください。
「ハードモノクローム(White Tone)」
ハードモノクロームのテイストは全部で3種類用意されおり、制作意図などによって使い分けることができます。
次は、テイストを使った作例を3枚、掲載します。
(加工前の元画像)
OLYMPUS SZ-10で撮影
「デジタルクロスプロセス(Y)」
テイストの適用によって、まったく違った印象の写真となったのがお分かりいただけるかと思います。
ちなみにデジタルクロスプロセスのテイストは、全部で4種類用意されています。
(加工前の元画像)
「ローキー」
ローキーのテイストを適用することで、落ち着いた雰囲気の写真へと変化しました。
(加工前の元画像)
「ノスタルジックトイカメラ」
テイストの適用によって、周辺減光のような効果とノスタルジックな雰囲気が加えられています。
なお、「SILKYPIX JPEG Photography 10」には周辺減光のような効果のみを加えるテイストも用意されており、しかも弱・中・強の3種類あります。
作例の最後として、複数のテイストを使った作例をご紹介したいと思います。
(加工前の元画像)
Panasonic LUMIX GF3とPentax SMC Takumar 55mm F1.8で撮影(マウントアダプター使用)
「退色(ブルー)」+「ハードモノクローム」
退色(ブルー)のテイストを適用してから、ハードモノクロームのテイストを適用したものです。
次のハードモノクロームのテイストだけを適用した写真と比較すると、印象が微妙に違っているのがお分かりいただけるかと思います。
「ハードモノクローム」(※単独)
ISLオンラインショップ / SILKYPIX JPEG Photography 11 (※最新版へのリンク)
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